『バックコーラスの歌姫たち』監督:モーガン・ネヴィル
渋谷Bunkamuraで1/31(金)まで上映中



「LOU REED / WALK ON THE WILD SIDE」

「ROLLING STONES / GIMME SHELTER」
「DAVID BOWIE / YOUNG AMERICANS」

…挙げれば枚挙にいとまがない60年代からの名曲たち。その誕生に大きく貢献したものの、スポットライトが当たることがほとんど無かったバックアップ・シンガーたちを徹底的に掘り下げた名作ドキュメンタリー。


ダーレン・ラヴ、メリー・クレイトン、タタ・ヴェガ、リサ・フィッシャー、クラウディア・リニア、ジュディス・ヒル…



※当店チケット取り扱っております!(税込:1800円)





凄い作品を観てしまった…というのが正直な感想ですソウル担当:中村


遅ればせながら映画『バックコーラスの歌姫たち』を観てきました。

原題は『20 FEET FROM STARDOM』、スターダムまでたった6メートル。

ブルース・スプリングスティーンの作中の言葉がこの映画のほとんど全てを語っているといっても過言ではない。
「数歩の距離だけど難しい。バックコーラスからメインの位置に来るにはね」

これは60年代からの名曲誕生に大きく貢献したものの、スポットライトが当たることがほとんど無かったバックアップ・シンガーたちを徹底的に掘り下げたドキュメンタリー映画。主に黒人女性シンガーを中心に取材したシンガーは60人、その中で映画で登場するシンガーだけでも20人を超える。



その中でも特に印象に残ったのは次の4人でした。


●ダーレン・ラヴ(DARLENE LOVE)

彼女の歌ったナンバーは20フィートを超えヒットするも、プロデューサーのフィル・スペクターに騙され別名義でリリースされていた。それも二度も。失意の末に音楽業界から身を引いた彼女は掃除婦の仕事に従事したというから驚きだ。しかしそこから一念発起し再び音楽業界に。2011年に「ロックの殿堂」入りし、見事スターダムに昇りつめる。劇中で独白される掃除婦から音楽業界に戻る転機となったエピソードが実に美しい。

●メリー・クレイトン(MERRY CLAYTON)
「ROLLING STONES / GIMME SHELTER」録音時に深夜いきなり呼び出されカーラーを巻いたまま「強姦、殺人、いつ起きるか」のフレーズを吹き込んだことで有名。スター願望が強い彼女はバックシンガーから脱却し苦戦しつつもソロアルバムを6枚録音。しかしどれもヒットすることはなくスターになる夢を諦める。監督モーガン・ネヴィルの評、「彼女に一曲でもヒットがあったらチャカ・カーンになれただろう」が強烈だ。

●リサ・フィッシャー(LISA FISHER)
1991年「How Can I Ease the Pain」がグラミー賞を獲得。本作に登場する誰よりも(比較的に)容易にメインの位置に立ったものの、"街も歩けないなんてうんざり"と平穏な生活を望み、その後はROLLING STONESやSTINGのバックシンガーをつとめている。ちなみに筆者が映像中最も感銘を受けた歌声が彼女。特に多重録音で録られたテイクは霊が乗り移っているかのよう。圧巻。



●ジュディス・ヒル(JUDITH HILL)

現在進行形で20 FEETの距離を縮めようと悪戦苦闘中。MICHEL JACKSON「THIS IS IT」のデュエットに採用されるが死去によりツアー中止。10億人が見たといわれる追悼式典で歌声を披露するチャンスに恵まれるも、ブレイクに至らず苦悩を重ねる。彼女の劇中挿入歌は「DESPARATION」=死に物狂い。タイトル以上に何も説明は要らないだろう。




というようにそれぞれに全く違う音楽人生があり、それだけでも十分見所はあるのだが、それらを可能な限り並列に並べて作った監督:モーガン・ネヴィルの手法がまた見事である。

例えばダーレン・ラヴのみをピックアップしたならハリウッド・エンディング的な娯楽性は上がっていたかもしれないし、メリー・クレイトンならバックシンガーの悲劇として物語は作りやすかっただろう。しかしそのどれもに寄り過ぎなかったがため、観客側はより多角的にバックシンガーという存在を考えることが出来る。


資料性も高い。貴重なLIVE映像はもちろんのこと、これらバックシンガーを雇った側、スター側のインタビューもふんだんに使用されている。ミック・ジャガー、スティーヴィー・ワンダー、ブルース・スプリングスティーン、スティング等々。これによりバックシンガーの言い分を両面から聞くことができる点が意義深い。

よってソウル・ファンだけでなく、ロック・ファンにも観て欲しい。

というより全ての音楽の裏方にこのようなミュージシャンはいたのであろうから
-ジャズでもレゲエでもブラジルでも邦楽でも‐全ての音楽ファンに観て欲しいと切に思う。


作品は昔からやっていたバックシンガーの現状についても言及する。「現在多くの仲間が廃業に追い込まれているの。その一つの原因が音楽ソフトの減少。スターたちは音楽ソフトよりツアーに力を入れているの。そして全てのバックシンガー達がツアー生活についていけるわけじゃないの」。音楽販売の末席で仕事をしている人間として、深く考えさせられずにはいられないコメントだった。




最後に監督の一言を。
「僕らのほとんどはロック・スターじゃない。僕もバックアップ・シンガーのように感じているよ」

なるほどわたしはDISKUNIONのバックシンガーであり、中村家のバックシンガーである。
メインを切望しながらも20フィート後方で歌う彼女達は、それでもどうしようもないくらい楽しげに見えた。





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