商品レビュー

モアシール・サントスやエウミール・デオダートらがアルバムを残した伝説的レーベル「フォルマ」のプロデューサーであった、ホベルト・クアルチンが設立したレーベル「クアルチン」。オリジナルのLPは4枚しか存在せず、4枚を並べるとひとつの円になるそのデザインはブラジル・レコード・コレクターなら一度は夢見るコンプリートだが、当時プレス数が非常に少なかったため、これを手にすることができた人はほんの一部。情報の少なさもありその全体像はいまだほとんど知られていないのが現状だ。また、アルトゥール・ヴェロカイが再評価されてからというものの、ブラジル音楽に対するトレンドも大きく変化。サイケデリックな音像やどこかアシッドな雰囲気のあるフォーキー・サウンド、そしてヴェロカイやアレトン・サルヴァニーニといった当時のブラジル音楽を支えていた名作編曲家の残したドープな作品が世界中で求められるようになった。ブラジル本国のレコード・ブームもあいまって、近年これらのレコードを手に入れるのは至難のわざとなっている。

今回再発されるジョゼ・マウロの「オブノシウス」(1970)は、まさにそんなトレンドに合致したブラジリアン・サイケの至宝である。冒頭の表題曲から、その尋常ではない空気に誰もが圧倒されることだろう。シネマティックなオーケストレーションから、ジョゼ・マウロの物憂げな呟きが挿入、フォーキーなギター・ストロークから一気に加速、弦・管の重厚なアレンジがジョゼ・マウロのメランコリックなヴォーカルとともに聞き手に迫ってくる本作品のハイライトとも言える強烈な幕開けだ。アシッド・フォーク的な"TARDE DE NUPCIAS"、ミルトン・ナシメントを思わせる"MEMORIA"、オーケストラ・サウンドとファンク・サウンドが融合した"APOCALIPSE"...。 ウィルソン・ダス・ネヴィス、パウロ・モウラ、ドン・サルヴァドール、ジェラルド・ヴェスパールといった最高峰の音楽家によるジャズ/サンバ/アフロ・ブラジル的なエッセンスを散りばめた演奏と重厚なオーケストラ・サウンドが一糸乱れぬアンサンブルを奏でる巨大な生物のようなサウンドは、ブラジル音楽、いや世界のポピュラー・ミュージック・シーンを見渡してもまれに見る完成度だろう。ブラジル音楽ファンはもちろん、レアグルーヴ、サイケ・ファンなどジャンルを超えたすべての音楽ファンに推薦したいマスターピースである。

Credits
Apresentacao – Roberto Quartin
Trumpete – Maurilio
Sax alto – Paulo Moura
Flauta – Altamiro Carrilho
Gaita – Rildo Hora
Orgao, piano e cravo – Salvador
Guitarra – Geraldo Vespar
Violao – Jose Mauro
Baixo – Sebastiao Marinho
Percussao – Juqinha e Mamao
Bacteria – Wilson Das Neves
O naipe de cordas de Roberto Quartin







輸入盤CD
JOSE MAURO / ジョゼ・マウロ / OBNOXIOUS

国内盤CD
JOSE MAURO / ジョゼ・マウロ / オブノシウス

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